BS1スペシャル「戦争を知らない子どもたちへ~元少年兵の告白・戦後~」

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[BS1]

2017年12月13日(水)

午後7:00~午後8:50(110分)

戦争を知らない子どもたちへ~元少年兵の告白・戦後~」

 

沖縄北部で米軍と戦った少年兵がいる。戦後70年経った今、30人余りの元少年兵が初めて語った戦争の真実―少年たちは戦場で何を見たのか、アニメドキュメントで伝える。

 

「目の前で幼なじみが撃たれ、倒れた。僕は彼を見捨てて戦闘を続けた。あの時、ぼくの心は異常だった…」(当時17才)沖縄北部のジャングルで米軍と戦った少年兵がいる。戦後70年たった今、30人余りの元少年兵が「戦争を知らない子どもたちへ」今、伝えたいと真実を語り始めた。少年たちはなぜ戦場に送られたのか?子どもたちが戦争に利用されていった知られざる歴史を“アニメドキュメント”で伝える。

 

 

 

アニメドキュメント「あの日、僕らは戦場で」

メイキングと制作秘話

NHK戦後70年企画 特設サイトはこちら

 

今年、日本は敗戦から70年を迎えました。
そこから始まった、戦後の歩みをみつめる「ニッポンのポ」。
「ポ」ではこれからのニッポンの平和を願いつつ、番組をご紹介します。

 

 

日本国内で最大の地上戦が行われた沖縄で、子どもたちが「少年兵」として戦争に利用されていった知られざる歴史。それをアニメと実写で伝えるドキュメンタリーです。

 

 

少年兵と聞くと、「遠い外国での出来事」という印象を持たれる方もいるかもしれません。

 

実は70年前の日本でも、子どもによるゲリラ部隊が組織されていたんです。沖縄では14歳から17歳までの子どもを中心とした「護郷隊(ごきょうたい)」という部隊がありました。隊員はおよそ1000人。中には、強制的に兵士とされたという少年も少なくありません。生き残った方々のうち、30人余りが、今回、当時の様子を証言してくれました。

 

 

演じてみて感じたことは…

アニメ制作の舞台裏、アフレコの現場に潜入しました。
思い入れを込めて演じていたのは、複数の少年兵を担当した、声優・比嘉久美子さん。
そして、少年で構成されたゲリラ部隊の隊長を担当した、速水けんたろうさん。

 

 

比嘉久美子さん比嘉久美子さん

 

「アニメの中で少年たちが、『敵を殺すことも、自分の命がなくなることも、友だちが死ぬことも、次第にどうでもよくなっていく』と話していましたが、どうでもよくなることほど怖いことはないな、と思いました。アフレコの途中、『少年に刀を突きつけるなんて、普通できないよね』と言った方がいましたが、アニメで描かれている時代は、普通の状態ではなく、国全体がまひしている状態。人が人でなくなっていく姿を見るのは、本当に怖かったです。収録が終わったいまもまだ、怖いですね。

Q)両親や親戚から、沖縄のことや戦争の話を聞いたことはありますか?(※比嘉さんの父親は沖縄の出身)

――祖父母にも父にも、聞いたことがなかったんです。聞きたかったですけれど、聞いてはいけないのかな、という雰囲気を子ども心にも感じていて。そのころは、なぜ話してくれなかったのかなと思っていましたが、今回の作品を見ていると、家族にも語れない部分が多かったのではないかと、いまは思います。
この番組を見ていただいた方には、戦争とは一体なんだろう、どういうことが起こるんだろうということを、自分なりに考えて頂くきっかけにしていただきたいな、と思います。

 

速水けんたろうさん速水けんたろうさん

 

役を演じる中で、子どもたちが戦争に狩り出されて、死を覚悟しなければいけない状況が、事実としてあったということを改めて知り、なんとも切なく、胸が詰まる思いがしました。自分は隊長の役でしたが、「敵を10人殺したら死んでも良い」というようなことを本当に言えてしまうものなのかと驚きました。しかし、役を演じる上では、あえてすごく冷酷な気持ちになって声を出しました。
今の日本は平和ですが、世界では戦争が起きています。少年を兵士として戦地に狩り出すようなことはあってはいけないことですが、沖縄でそういう事実があったということを見つめ直し、それを忘れてはいけないと感じていただければ、と思います。

 

『“子どもが戦争に巻き込まれる” 肌感覚で伝えるには…』

 

板垣淑子チーフ・プロデューサー板垣淑子チーフ・プロデューサー

 

証言を下さった方々は、当時の状況を昨日のことのように細部まで覚えていらっしゃいました。しかし、“秘密部隊”という特殊性から、映像資料がほとんどありません。また元少年兵の方々もご高齢ですが、彼らを訓練した陸軍中隊長以上の幹部は、ほぼ全員亡くなっていました。実際の体験者が少なくなっていることを痛感しました。いまの若い人たちは親も、場合によっては祖父母も戦争体験者ではないという人が増えています。そういった方に、どうしたら証言をリアルに伝えられ、肌感覚で戦争を感じてもらえるかを考えた末、アニメを選びました。

 

Q) アニメの強みを教えて下さい。
 
――少年兵は、今でいうと中学生から高校生の世代です。本当は、まだ親に甘えたい気持ちもあるかもしれない。そんな、いたいけな子どもらしさは、アニメだからこそ伝えられたと思います。一方で純真な子どもだからこそ、逆に訓練を受けると、あっと言う間に洗脳されてしまいます。昨日まで海で泳いでいたような子どもがたった2,3日で洗脳され、大人よりも強く洗脳がかかった状態で戦地に赴いていく、その過程を見て欲しいです。そして、いまも世界では幼い子どもが紛争に巻き込まれる事態が起きている。そのことの意味も考えて欲しいなと思います。そういう題材に、“アニメだからこそ”挑戦できたのではないかと思っています。
 
Q) ポの読者へのメッセージは
 
――戦争を体験した人たちは、いま、“最後の”証言を残しています。彼らの言葉をきちんと聞いて、戦争というものをきちんと理解してほしいと思います。平時であるいまでも、暮らしの中でしんどいと思うことやめんどくさいと思うことなどがあると思います。しかし、戦争を体験した人の話に耳をかたむけることで、もしかしたら日々の大変なことや面倒なことも、かけがえのないことと思えるような瞬間があって欲しいと思います。